拝啓、元婚約者様 捨てた私のことはお構いなく
 ホークはそこで、片手に抱えていた木箱を自分の前に差し出す。
 
「こちらをご覧いただけば、信じていただけるかと」
 
 もったいぶった様子で開けた木箱の中には、ロサイダー領で採れたダイヤモンド鉱石が入っていた。
 文官がホークの持ってきた木箱を持って国王の近くに持って行くと、国王は鉱石を手に取る。そして、それを謁見室の灯りにかざして眺めた。

「たしかに、ダイヤモンド鉱石のように見えるな。昔見たものに似ている」
「専門家に間違いなく本物だと鑑定をいただいております。もしご心配なら、再度鑑定に出していただいてもかまいません」
「なんと。ロサイダー領に本当にダイヤモンド鉱山が……」

 国王はまだ信じられない様子で、しきりにあごひげを撫でている。しかし、手にはしっかりとダイヤモンド鉱石を握ったまま放そうとはしなかった。

(思った通り、興味を持ったな)

 ホークは内心でほくそ笑む。

「先ほど申し上げた通り、このダイヤモンド鉱石が採れたダイヤモンド鉱山の利権は国王陛下に献上いたします」
「ほ、本当によいのか?」

 国王は興奮したように声を上ずらせる。

< 108 / 193 >

この作品をシェア

pagetop