拝啓、元婚約者様 捨てた私のことはお構いなく
 そして、今度は少し歩いた先にある文房具屋が目に留まった。
  
「ここの文房具屋さんは最新の万年筆が色々取り揃えてあるんです。お父様もここのものを愛用していました」
「へえ」
「閣下も一本使ってみませんか? プレゼントします」

 フィーヌはホークに微笑みかける。
 普段、フィーヌはホークから色々なものを与えられているけれど、フィーヌからホークにプレゼントすることはない。
 日頃の感謝を込めて、何かプレゼントしたいと思ったのだ。

「ありがとう。では、選んでくれるか?」
「もちろんです」

 フィーヌはショーウインドウに並ぶ万年筆を眺める。
 どれにするか散々迷ってから、青と黒を基調としたボディの万年筆を彼にプレゼントした。

「ありがとう。フィーヌからプレゼントをもらうのは初めてだな」
「どういたしまして。使っていただけたら嬉しいです」

 フィーヌは笑顔を見せる。
 
「きみがくれたと思うと、仕事がはかどりそうだ」
「……そうですか」

 ホークがとても嬉しそうに笑うので、フィーヌはドキッとする。
 
(最近、どうしてこんなにドキドキするんだろう)

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