拝啓、元婚約者様 捨てた私のことはお構いなく
「城に勤めている親戚に聞いたんだけど、近く何かの祝賀会を行う計画があるらしいわよ。領主様自らが指揮を執ってるとか」
「へえ、そりゃめでたいわね。何があったのかしら?」

 楽しげに噂話をするふたりのほうを、フィーヌは見る。彼らはそのまま道を歩いて行ってしまった。

(祝賀会なんて、聞いてない……)

 率直に言って、ショックだった。
 フィーヌはホークの妻であり、ここロサイダー領を収める辺境伯夫人だ。城でそのような計画があるなら当然知っていなければならないはずなのに、一切聞いていない。

(わたくしには秘密の祝賀会ってこと?)

 真っ先に思い浮かんだのは、シェリーが身籠っている赤ん坊をお披露目する会だ。シェリーがホークの寵愛を受けているなら、シェリーが産んだ子供は当然ホークの血を継いでいるはず。
 次期辺境伯になるかもしれない子供をお披露目するにあたって大規模に祝うのは当然のことだ。

(今日出て行って、正解だったわ)

 夜、ホークから近く婚外子が生まれることと、その子のお披露目をするための大規模な祝賀会を開催することを告げられてしまったら──。

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