拝啓、元婚約者様 捨てた私のことはお構いなく
 その管理人──ロバートは確かにフィーヌの神恵が関与しているようなことを言っていた。
 あのときは金鉱脈を上手く捜しだせないことへの言い訳で言っているだけだと思っていた。しかし、本当にフィーヌが関係しているとしたら?

(もしかして、本当にフィーヌの力のおかげなのか? そういえば……)
 
 フィーヌが嫁いだあとにロサイダー領でダイヤモンド鉱山がみつかり、その利権を国王に献上したため話題になっていたことを思い出す。
 偶然の一致にも見えるが、タイミングがぴったり合っている。
 
「よし。フィーヌに手紙を書いてみるか。あいつは俺に惚れていたから、喜んですぐに駆けつけてくるはずだ」

 少し優しくすれば、必ず自分の思い通りになるはず。
 そう確信したバナージは口元に笑みを浮かべ、早速ペンを手に取った。

 
  ◇ ◇ ◇
 

 昼下がりのロサイダー領。
 フィーヌの私室では、ホークとフィーヌがお茶を楽しみながら夫婦水入らずの時間を過ごしていた。

「リリーなんだが、ずいぶんときみに懐いている。もしよかったら、きみの馬にどうかと思ったんだ」
「まあ、リリーをわたくしに? 嬉しいです」

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