拝啓、元婚約者様 捨てた私のことはお構いなく
 ロサイダー領には多くの軍人がおり、当然騎馬隊も整備されている。騎馬隊は優れた馬術を身に付けておく必要があるため、彼らを指導する指導員が常駐しているのだ。

「だめだ」

 ホークははっきりと言い切る。

(騎馬隊の馬術指導に当たる時間を奪われてしまうからかしら)

 たしかに彼らの本業はそれなのだから、馬に乗って戦うことのないフィーヌの馬術指導より優先されて当然だ。
 しかし、ホークが言った理由はフィーヌの予想していないものだった。

「馬術を指導するためには、どうしても体に直接触れる必要がある。フィーヌに触れていい男は、俺だけだろう?」
「え?」

 フィーヌは驚いて、ホークを見返す。

「約束してくれ。きみの体に触れるのを許されるのは俺だけだと」

 まっすぐにフィーヌを見つめるホークはその目を逸らさないままフィーヌの手を取り、そこに唇を寄せた。

(な、なんか……)

 こんなに独占欲の強い人だったのかと、困惑する。
 両想いになってから愛情表現を隠さないようになったホークの態度に、フィーヌは時々どぎまぎしてしまうのだ。
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