拝啓、元婚約者様 捨てた私のことはお構いなく
「考えても見ろ。ナルト金山はフィーヌの助言を聞いて見つけることができたんだから、あいつを懐柔しておけば役に立つ。いい関係を築いておくべきだろう?」
「ふーん。つまり、利用するってことね? でも、そんなに協力してくれるかしら?」
「あいつはまだ子供がいない。もしロサイダー辺境伯との間に亀裂が入ったら、すぐに追い出されるはずだ。そのときフィーヌが頼れるのは誰だと思う?」

 そこまで言うと、レイナもぴんと来たようだ。

「ロサイダー辺境伯との仲を裂くのね? でも、ロサイダー辺境伯は死神って言われていたんでしょう? 上手くいくかしら?」
「死神っていうのは俺が流した噂だから気にしなくていい。それと、罠にかけるのはフィーヌのほうだ。ここに招待している間に別の男を連れ込んだと知ったら、ホークはどんな反応を示すかな?」

 バナージにんまりと笑う。
 冷酷だと評判の男だ。きっと烈火のごとく怒り、フィーヌをロサイダー辺境伯家から追い出すに違いない。

「いい考えだと思うわ。すぐに準備しないと」
「ああ、頼む」

 バナージはグラスに残っている酒をくるりと回すと、いっきにそれを飲み干す。

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