拝啓、元婚約者様 捨てた私のことはお構いなく
 熟成期間が短い分アルコール度数も低く、ジュース代わりにもされる一品だった。

「いただくわ」

 ソファーに座るフィーヌが頷くと、ホークはグラスふたつに果実酒を注ぎ、フィーヌの横に座った。

「フィーヌからこんな夜更けに俺の部屋を訪ねてくるのは珍しいな。何か進展があったのか?」
「ええ、これを見て」

 フィーヌはポケットから今日届いたばかりの手紙を取り出す。
 
 内容は、アドバイス通りにナルト山を試掘して金鉱脈が見つかったことや、これからも高位貴族である公爵家と辺境伯家同士仲よくやっていこう、是非ダイナー公爵家に来てほしいという旨が書かれていた。

「よくもまあ、俺達をあの屋敷に招待しようと思うな。どういう神経しているんだ?」

 ホークは呆れたように呟く。
 その言い草に、フィーヌは思わずくすっと笑ってしまった。

 ダイナー公爵家は即ち、ホークとフィーヌが出会った場所だ。
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