拝啓、元婚約者様 捨てた私のことはお構いなく
(開口一番にドレスがダサいと暗に言うあたり、相変わらずいい性格しているわ。でも、こうこなくっちゃつまらないわ)
 
 けれど、ある意味ホッとした。
 万が一レイナがこれまでのフィーヌに対する数々の行いを心から反省して涙ながらに謝罪してきたら、フィーヌはここに来たことを後悔したはずだ。
 けれどこれなら、フィーヌも心置きなく戦うことができる。
 
「ご招待ありがとうございます、ダイナー卿、レイナ」
 
 フィーヌはレイナの嫌味を聞き流すと、にこっと微笑む。
 レイナはフィーヌがほとんど反応を示さないので面白くなさそうな顔をしたが、フィーヌは気づかないふりをしてやり過ごした。

「遠いところ、悪かったな。金鉱脈が見つかった件について、是非直接礼を言いたいと思ってな。公爵家と辺境伯家、お互い高位貴族同士仲よくやっていこうじゃないか」

 バナージはフィーヌとホークの正面にどさりと座る、レイナはその隣に座った。

 四人でテーブルを囲んだ会食は、ひどくつまらないものだった。喋っているのはバナージばかりで、そのほとんどが彼自身の自慢話なのだから。

< 171 / 193 >

この作品をシェア

pagetop