拝啓、元婚約者様 捨てた私のことはお構いなく
 フィーヌからは滝の近くに六角形状に杉があると言われた。教えられた地域に滝は数カ所しかなく、その周辺を重点的に捜したが該当する場所は未だに見つからない。

 このまま見つからないと、担保にしたリリト金山とナルト金山の所有権を銀行に差し押さえられてしまう可能性すらあった。

 さらに、1億リーンもの大金をはたいて購入したシートについても誰に聞いてもリゾート開発のリの字も聞こえない。馬車の通れる道路すらないので、リゾート地になるにしても十年以上はかかるだろう。
 そもそも、リゾート開発の話自体、信ぴょう性が疑わしいとバナージは思った。

「くそっ。レイナの話を鵜呑みにせずにもっと調査してからにすべきだった」

 バナージは拳を握る。
 シートが出品されると知ってから、競売当日までの時間があまりにも短すぎた。あの土地に関して価値があるという確固たる根拠は何もなかったが、競売所の男が高値で入札するので間違いないと思い込んでしまったのだ。
 
(どうすれば……。そうだ。フィーヌにもう一度聞けば──)

 土の声を聴けるフィーヌであれば、この状況を打開してくれるかもしれない。
 
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