Mr.Phantom
「おやおや。東洋一とも名高い探偵さんは怪盗一人を見ただけでこれほど動揺されるんですね」

怪盗ファントムの口から出た流暢なこの国の言葉に、アメは舌打ちを隠すことなくした後に言った。

「ヨルを返せ」

「それはできません。犯行予告状にも書いてあったでしょう？「ダイヤモンドを頂く」と」

「ダイヤモンド……。お前にはヨルがそう見えてるってことか」

「違いますよ。ヨルさんはダイヤモンドを持っています。物理的にではありませんが」

怪盗ファントムの言葉にアメは考える。ヨルは裕福な暮らしはしていない。ダイヤモンドどころか宝石一つ持っていない。でも怪盗ファントムは持っていると言った。一体それは何なのか。しばらくしてアメは怪盗ファントムを睨み付けた。

「誕生石か！」

「正解です」

怪盗ファントムは微笑む。もしもヨルを抱き上げていなければ拍手をしていただろう。アメは拳を握り締める。

ダイヤモンドは四月の誕生石だ。そして、ヨルも四月生まれである。怪盗ファントムは意識のないヨルを愛おしげに見つめながら言った。
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