Mr.Phantom
怪盗ファントムの高度がゆっくりと下がっていく。アメは窓から飛び降りた。樹木がクッションとなってくれたため、体は少し痛むものの、怪我はしていない。

「ヨル!!」

怪盗ファントムが着陸するであろう場所へアメは走った。広い庭を駆けていく。息が切れ、横腹がズキズキと痛んだ。それでも足を止めない。

怪盗ファントムは庭の樹木の中に倒れていた。その近くにはヨルがいる。

「ヨル!!」

アメはヨルに駆け寄る。彼女の体を揺さぶると、ヨルは「んん……」と声を上げながら目を開けた。アンバーの瞳がアメを捉える。

「アメさん……?」

「レディー、お怪我はありませんか?」

アメが心配の言葉をかける前に怪盗ファントムが訊ねる。ヨルは隣を見て「えっ!?」と大きな声を上げた。

「怪盗ファントム様!?どうして!?」

「あなたを盗むつもりでしたが、そこのナイトに邪魔をされてしまいました。残念ですが今日は諦めるとしましょう」
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