Mr.Phantom

部屋の中央にはガラスケースが置かれ、その中に宝石が入れられている。部屋の照明に照らされ、ダイヤモンドは煌めきを放っていた。

「大きいダイヤモンド……！すごい。こんなの見たことない」

ヨルが感嘆の声を漏らしながらダイヤモンドをマジマジと見つめる。アメは宝石を入れてあるガラスケースをじっくりと観察した。

「銃弾も貫通しない強化ガラスか」

「さすがアメさん！このガラスは警察庁が特注したものです。そして部屋には窓がなく、見張りの警察官が五人。これでは奴も手は出せないはずです」

自信満々に刑事は言う。電話での落ち着きのなさが嘘のようだ。しかし、油断はできない。アメは警察官一人一人を見て言う。

「いや、断言はできないよ。この中の誰かが怪盗ファントムの変装かもしれないしね」

「確かに。よし、一人ずつ顔をつねって確認しよう。変装マスクを使用していたらすぐにわかるはずだ」

刑事の言葉に警察官たちが顔をつねり合う。全員本物のようだ。それを見届けた後、アメは部屋の外に出る。