Mr.Phantom
「アメさん、どこへ行くんですか?」

「ちょっと見回りに行って来る。ヨルは部屋にいろ」

ヨルにアメはそう言い残し、屋敷の中を見て回ることにした。ダイヤモンドの部屋だけでなく、屋敷の周囲は多くの警察官が見回りをしている。外から堂々と侵入するのは難しいだろう。

アメは腕時計を見る。時計の針は止まることがない。犯行予告時間まであと数分になっていた。

(何かが引っ掛かるな……)

屋敷を歩きながらアメは考え込む。豪華絢爛な屋敷など気にならない。気になるのは頭の隅にある違和感だ。何かおかしなところがあっただろうか。記憶を辿っていく。

ボーン……ボーン……ボーン……。

十二時の鐘が鳴り響く。犯行予告時間だ。その瞬間、アメの頭に違和感の正体が浮かび上がる。

「そうだ。おかしい。あの犯行予告状には、モンマス公の名前がどこにもなかった!」

通常、犯行予告状を書くならば相手の名前を書くだろう。そうすることで警戒や恐怖を煽るのが普通だ。しかし、あの犯行予告状には誰の名前もない。
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