それが例え偽りの愛だとしても
差し出した瞬間——真人様の指先と、私の指が、ふれてしまった気がした。

「……あっ。」

鈴が、軽い音を立ててテーブルの上に落ちた。

「す、すみません……!」

「いいえ、こちらこそ。驚かせてしまって。」

真人様はそう言って、丁寧に鈴を拾い上げる。

指先で軽く鳴らすと、ちりん、と小さな音が部屋に響いた。

「しっかりとした紐だな。……これを作れるなんて、立派だ。」

その一言に、胸がぎゅっと熱くなる。

褒められ慣れていない。

けれど、今の言葉は——本当に、嬉しかった。

「本当は……お生け花とか、日本舞踊のような趣味の方が、ふさわしいのでしょうけど。」

私は思わず口にして、しまったと思った。

でも、真人様は微笑んでくれた。

「これも、立派な趣味ですよ。……あなたらしいと思います。」

“あなたらしい”

その言葉が、胸の奥で何度も反響した。
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