それが例え偽りの愛だとしても
「……実は、自分で作った紐なんです。」

真人様の目が、わずかに見開かれる。

「えっ? ご自分で?」

その反応が、嬉しかった。

貶されるのでも、興味本位でもない。

ただ、純粋な驚きと感嘆。

私は、ほんの少しだけ、息を吐いた。

「母に習って……組紐を少し。下手の横好きです。」

真人様は、頷きながらもう一度鈴に目を落とした。

そして、微かに笑った。

「お上手ですね。華やかだけれど、芯のある結び方だ。」

私は、鼓動が速くなっていくのを感じながら、この人の言葉が、なぜだかとても温かく胸に響くのを感じていた。

「今日の記念に、頂くことはできますか?」

真人様の声に、思わず息を呑んだ。

「え……ええ、もちろんです。」

私は慌てて手を帯に伸ばし、鈴を外す。

組紐が指にからむ。緊張で、少し手が震えた。
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