それが例え偽りの愛だとしても
裁縫が好き——小さな布で袋を縫ったり、組紐を編んだりするのが日課だった。
けれど、そんなことを話したらどう思われるだろう。
“地味だ”“暗い”“社交的でない”——そんな印象を与えてしまわないだろうか。

「その……」

迷いに言葉を詰まらせた、その時だった。

「……それは?」

真人様の視線が、私の腰元へと向けられた。

着物の帯にあしらった、小さな鈴。

組紐で飾り結びを施した朱色の飾りが、控えめに揺れていた。

「どこでお買い求めを? とても鮮やかな朱色をしている。」

買ったものではありません。

けれどそう答えるのは、少し怖かった。

私の手癖を、笑われるかもしれない。
でも——

真人様の声には、本当に興味を持ってくれている響きがあった。

勇気を出して、答える。
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