音のない世界で私の耳になってくれた君は
音のない世界に生きている人々【side 壮良】
俺には耳の聞こえない幼馴染がいる。
生まれつきの先天性難聴らしい。
同じマンションに住んでいるのもあって仲良くなった。
初めは手話ができなくて筆談でコミュニケーションをとっていた。
でもやっぱり書けるものがないときに不便だ。
俺はきちんと手話を覚え、マスターした。
手話でコミュニケーションをとるのは意外と楽しい。
蛍のことを可哀想だとは思ったはことない。
だって、勉強なんて俺より得意だし身体能力は…まぁ、いいとして性格も最高。
そこらへんの女子より断然いいだろう。
てか、電車めっちゃ混んでる…
壁ドンいつまで続けないといけないんだろう…
「次は〜桐神楽大学前〜お降りの方は…」
『着いたよ。降りよっか』
『そだね!』
アナウンスが聞こえないから教えてあげないと乗り過ごしちゃうから…
階段を降りて改札口を通ろうとしたときだった。
「お嬢さん、これ落としましたよ!」