ロールキャベツ男子って、そういう意味じゃないと思います。
 高い窓から綺麗な三日月が覗いている。もう夜だ。私は牢の中で膝を抱えた。

「はぁ……」

 息を吐くとぼんやりと白くなる。ここはヴァンパイアが住むお屋敷。私は生贄として、ここへ連れてこられた。

 孤児院で育った私は、義理の両親に引き取られてこれまで生きてきた。これからも同じ日々が続くのだと思っていたけれど、平穏は突如終わりを告げた。生贄になるために生きてきたわけではない。でも、自分の力ではどうすることもできない。

 早く終わらせて欲しい──そう思っているのに、牢に入れられたまま、朝から誰も来ない。

「寒いんですけど!」

 寒さを紛らわせるために大きな声で叫ぶと、ガチャンと乾いた音が響いた。

(誰か来る!)

 そう思ったら震えが止まらなくなった。靴音と共に、ぼんやりと灯る明かりが徐々に近づいてくる。

(もうおしまいだ!私はヴァンパイアの餌になるんだ……!)

 私は頭を抱えてうずくまった。
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