ロールキャベツ男子って、そういう意味じゃないと思います。
「はぁ〜美味しいっ!リゼルは料理が上手だね!」

 たくさん作ったロールキャベツは、レオ様の口の中へどんどん吸い込まれていく。

 テーブルの上にあるグラスには、真っ赤な液体が注がれているけれど、あれはトマトジュースだ。

(レオ様は本当にヴァンパイアなの?っていうか、そもそも何歳なの?)

 ヴァンパイアは人の血を啜り、人間よりも長生きだと聞いたことがあるけど、レオ様はどう見たって中学……いや、高校生くらいだ。

「リゼルも食べる?」
「私は……」

 何も食べていないけれど、ヴァンパイアを前にして食欲なんて湧くわけが──

 ぐぅ〜

 呑気な音が響いて、私は慌ててお腹を押さえた。

「一緒に食べようよ。明日は、リゼルが好きなものも作って良いからね。」

 レオ様は席を立って、テキパキと私の分のロールキャベツを準備してくれた。

「ほら、食べよう?お腹空いてるんでしょ?」
「……ありがとうございます。」

 自分で作ったロールキャベツは、美味しくも不味くもない。だけど、ずいぶんと暖かく感じた。
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