ロールキャベツ男子って、そういう意味じゃないと思います。
 周囲を見ると、キラリと光る包丁が目に映った。この場で私は調理されてしまうのかもしれない。体を硬直させていると──

「リゼルは料理できる?さっきからお腹鳴ってて恥ずかしいから、早く作って欲しいんだよね。」
「料理?」

 ヴァンパイアが食べるものだから、やっぱり何かしらの血に関係する物なのだろうか。ということは、やっぱり──

「ロールキャベツを作って欲しいんだ。」
「ロールキャベツ!?」

 思いがけない注文だった。

「俺、ロールキャベツ男子なんだ〜ロールキャベツ大好き!」
「は、はぁ……」

「ここにあるものは全部使っていい。できるだけたくさん作ってくれると助かる。」
「わ……かりました……」

「俺は仕事片付けてくる!お願いね!」

 そう言って、レオ様は軽快にキッチンを出て行った。

「ロールキャベツ男子って、そういう意味じゃないと思うんだけど……」

 私は、まるまるとして美味しそうなキャベツを手に取った。
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