恋ひわずらふ帝~御簾の奥、ただ君を想う~
どこか懐かしく、そして甘く切ない香り。

心の奥に、昨日の面影がじんわりと広がってゆく――。

そしてその日の昼過ぎ。

私は庭の落ち葉を掃いていた。陽は少し傾きはじめていたが、風が心地よくて、思わず手を止めてしまう。

ふと、遠くの廊下に人の気配がした。

顔を上げると、そこには帝のお姿があった。

御衣が風に揺れて、まるで光の中に立つような、凛としたお姿。

その一瞬、帝がこちらを向いた――気がした。

私は慌てて顔を伏せる。「顔を見せてはいけないよ。」

百合様の言葉が頭をよぎる。

そして帝は、そのまま中宮・清姫様の房へと向かわれた。

「清姫。お健やかであるか。」

「はい、お陰様にて。」

百合様の姿も、静かにその傍らにあった。

帝の穏やかな声が、風に乗って届いてくる。

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