恋ひわずらふ帝~御簾の奥、ただ君を想う~
胸がきゅう、と締めつけられる。

寒くもないのに、震えが止まらない。

私には一生、触れることもできぬお方。

触れてはならぬお方。それなのに——この身が、引き裂かれそうだった。

百合様は、私が戻るなり静かに言った。

「塞ぎ込んでも仕方あるまい。中宮様は、帝の正しき妃であらされる。」

「……はい」

口ではそう答えたけれど、目に浮かぶ涙は隠せなかった。百合様は、ため息をひとつ吐いて続けた。

「そなたに、帝の顔を見てはならぬと申したのは……無駄だったようじゃな。」

私は袖で目元を押さえた。ごめんなさい。

言葉にできず、ただ震える肩を見せることしかできなかった。

「まさか、そなたの方が……ままならぬ恋をしてしまうとはな。」

胸の奥が痛んだ。ままならぬ恋。

叶うはずのない想い。私は嗚咽を漏らしてしまった。
< 26 / 44 >

この作品をシェア

pagetop