恋ひわずらふ帝~御簾の奥、ただ君を想う~
「それは……」息を呑む私に、百合様はさらに顔を寄せてきた。

「今宵の夜伽を、そなたに任せたいと仰せだ。」

胸の奥で、ドクン、と音が響く。体が小さく震えた。

「……帝が、私を?」

「そうよ。——召したのじゃ。」

信じられなくて、気づけば百合様にぎゅっと抱きついていた。

「本当ですか?」

「しかと、この耳で聞いた。」

帝が、ご自分の寝所に私をお呼びくださった——。

それは決して、気まぐれや一時の流れなどではない。

れっきとした恋の成就の場。

夢のように遠くにあったはずの恋が、今宵、手の届くところへと降りてきたのだ。

そして百合様は、私を静かに湯殿へと案内された。

「帝の思し召しの際は、この湯殿を使えるのですよ。」

そう言って扉を閉める音が、いつもよりも深く胸に響いた。
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