ほしうらない
乗り越えたと思いたい自分がいる。
駅が見えて、ポケットから定期を取り出す。
でも、有明さんを殴ったところで乗り越えられるわけではない。
「都内近郊じゃなくても、ここら辺でばったり会う可能性だってあるだろ」
「正論を言って納得したいならお好きにしてください。有明さんには関係ないし、わからないと思います」
そして、分かってほしいとも思っていない。
誰かに言って聞かせて分かって貰えるような傷じゃない。
分かったような顔もして欲しくない。
改札を抜けると、有明さんは静かになった。