ほしうらない
笑ってくれて助かった。
これはもう、過去の話なのだから。
私はもう、乗り越えたんだから。
「そりゃそうだ。可哀想なのは、辞めてった奴らの方だな。で、ぶん殴ったんすか?」
「私は普通に異動願出しましたよ、やらかしてません」
「良かった。俺もいつかぶん殴られるかもしれないからな」
「そんなことしません」
「会うのが怖い?」
その質問に口を噤む。どうしてそうやって刺してくるのだろう。
「……ちがいます」
「だから帰りたくないんだろ」
「殴りますよ?」
「こわ」
ケラケラ笑っている。他人事だと思って。
いや、他人事だけれど。