ほしうらない

駅で会ってへらへらと話しかけられたのに、少しもそんな事なんて出来なくて。

どうやって逃げてきたのかも覚えていないくらいの、去り際に。

「だめでした」

大丈夫かも、大丈夫かな、大丈夫だった。やっぱりだめだった。
そんなことの繰り返しで。

「籾野さんが殴らなくて良かった」

有明さんは静かに続けた。

「そしたら俺が呼び出されたの、東京駅じゃなくて警察署だったかもしれないしな」
「そうですねえ」
「だから良かった」

良くなんてない。全然、良くない。

それは私にもわかっていた。

< 48 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop