推し活スポンサー公爵との期限付き婚約生活〜溺愛されてるようですが、すれ違っていて気付きません〜
こうしてミシュリーヌはクロエのために身を引こうと決意したのも束の間、結局はレダー公爵と連絡が噛み合わずにこうなったというわけだ。
ミシュリーヌはクロエの肩に手を置いた。

(この結婚は間違えた婚約だったのよ。一年経てば、レダー公爵はきっとクロエを迎えに来るはず。だから待っていて……!)

自分はさっさと身を引くべきだったろうかと、うずうずしていたミシュリーヌだったが、クロエには結果的に申し訳ないことをしてしまったと肩に手を置いた。


「ごめんね、ミシュリーヌ……」


クロエは首を横に振った。


「ミシュリーヌお姉様は何も悪くないわ。あの男……ミシュリーヌお姉様を傷つけたらタダじゃおかない。地べた這いずり回らせて後悔させてやる」

「……え? 最後の方、なんて言ったか聞こえなかったんだけど、もう一度言ってくれる?」


今、『あの男』と言ったような気がしたのだが気のせいだろうか。
そこから早口で何を言っているのか聞こえなかった。


「なんでもないわ。ミシュリーヌお姉様には幸せになってほしいと思っているだけだから」


無理して笑みを作るクロエを見ていると胸が痛い。

(……なんていい子なのかしら。クロエは本当に人を思いやることのできる素晴らしい子だわ。だからこそ自分の気持ちを犠牲に欲しくない)

ミシュリーヌは彼女の手を取る。


「そう……本当にごめんね。クロエ」

「ミシュリーヌお姉様、大好き。抱きしめてもいい?」

「えぇ、もちろんよ」
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