婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
「何か?」
 あまりにも凝視するエステルを不思議に思ったのだろう。セリオは首を傾け、不思議そうに問うてきた。
「いえ、なんでもありません。さあ、行きましょう。実はたくさん作業が残っておりまして、人手が欲しいなと思っていたところだったんです」
「そ、そうなのか……?」
 セリオが手伝いを申し出たことを後悔するように、顔をしかめたのを見逃さない。だからってエステルも、貴重な人手を逃すわけにはいかない。
「では、ギデオン様。失礼します」
「ああ、では食事の席で会おう」
 エステルはぺこりと頭を下げ、ギデオンの部屋を出た。もちろん、隣にはセリオがいる。こうやって並んで歩くと、セリオがセドリックと同じくらいの体格であるのがよくわかる。彼の顔を見るために、見上げる角度が同じだった。
「セリオさんも、魔導技師、もしくは魔導職人なのですか?」
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