婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
「いい話を聞いた。俺も、自分の行動を振り返ってみることにしよう。だが、まだ彼女を側で守るためには俺の力が足りない」
 だから突き放した。今はこれが最善の選択だったと思っている。
「それも選択肢の一つですね。自分に力がついたとき、彼女を迎えにいけばいい。だがそのとき、彼女が受け入れてくれるかどうかは別ですが」
 褒めて落とす。本当にこの男は、セドリックの反応を見て楽しんでいるのだろう。
「ギデオン。いい話を聞いたついでに、一つだけ教えてやる」
「なんでしょう?」
 どこか懐かしさが滲んでいた彼の紫眼に、鋭い光が宿った。これからの話を警戒しているかのよう。
「エステルは、ヘインズ侯爵の実の娘ではない。養女だ」
 驚いたのか、ギデオンは目を大きく見開いた。
「だが……侯爵によく似ている……」
 そう言ったギデオンの歯切れが悪い。
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