婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
 新しい場所で新しい出会いを求めているハンナには、それなりに新しい出会いがあったようだ。だが、その新しい出会いはなかなかうまく続かない。
「エステル様、聞いてください! マイケル、二股かけていたんです。酷くないですか? 私が、王都から来ているから、寂しい女だろうって……だからって……」
 一度箍が外れてしまった愚痴は、とどまることを知らない。二股かけていたから始まり、最初はやさしかったのに、次第に距離を取るようになって、挙げ句の果てに無視すらされる。そしていつの間にか他の女と……別れてもいないのに、他の女とつきあっていたら二股だろうと、ハンナは一気にまくし立てた。
「男を見極める目がなかったんだわ。次よ、次!」
 ハンナがくよくよしないタイプでよかった。
「でも、ハンナ。聞いた話によると、採掘師は冬になるとどうしても仕事が薄いでしょう? だから……」
 だから冬に出会う採掘師には気を付けろと、そう言われているのだ。彼らは一冬、楽しめる相手を探していると。
「私もその噂を知らなかったわけじゃないんです。でも、まさか自分がって思うじゃないですか」
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