婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
 ハンナの気持ちもよくわかる。だからこそ、恋は盲目とも言われ。
 自分だけは大丈夫だと、そう思ってしまうから。
 エステルの胸がズキリと痛んだ。かつてのエステルも、そう思ったことも何度もあったからだ。セドリックとの関係が終わるだなんて、一年前は思ってもいなかった。
「ほらほら、エステル様。私の話はどうでもいいです。それよりも旦那様がお待ちでは?」
 ハンナの言葉で、エステルもはっとする。
「そうね。そろそろ時間だわ。お待たせしても悪いし」
 エステルはハンナと一緒にギデオンの待つエントランスへと向かった。だが、エントランスに入った途端、エステルの身体は強張った。
「……え?」
 そこにはなぜかセリオの姿もあったのだ。
「セリオも誘った。彼もここに来たばかりだからな。案内するなら、二人まとめたほうが効率はよい」
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