婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
 それから学園に通うようになり、セドリックの立太子の儀が執り行われ、彼が正式に王太子となったときには、婚約者を決めなければという話があがった。
 そこでセドリックはエステルの名をあげた。
 ――結婚するならエステルがいい。
 セドリックがエステルを婚約者に望んでいると父親から聞いたときは、エステル自身も飛び上がって喜んだくらいだ。
 ヘインズ侯爵といえば、今では飛ぶ鳥を落とす勢いの国家魔導技師。その娘とあれば、王太子の婚約者にふさわしいだろうと、誰もが思った。
 また、一部関係者は、セドリックとエステルが幼いときから仲が良く、一緒に遊んでいたことも知っている。
 となれば、セドリックがエステルを望むのは、自然な流れでもあったのだ。
「エステル……落ち着きましたか?」
 やっと嗚咽が引いた頃、ヒルダがやさしく声をかけてきた。
「は、はい。みっともない姿をお見せして、申し訳、ございません……」
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