婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
その話し方が、以前からエステルを知っているかのように聞こえて、変に心臓がドキドキし始める。
「だが、遠慮する必要はない。疲れたなら遠慮なく俺に寄りかかれ」
そう言われたら意地でも寄りかかるものかと思っていたエステルだが、しばらくしたら疲れと心地よい揺れによって、瞼が重くなってきた。かくかくと頭があっちへ行ったりこっちへ行ったりしているのは、セリオから見てもよくわかるだろう。
腰に回された手が、力強くエステルの身体を引き寄せる。そこから伝わるぬくもりも心地よく、エステルはセリオにされるがまま素直に従った。
そこからしばらくの間の記憶がない。
「エステル、着いたぞ」
セリオに名前を呼ばれるまで、エステルはすっかりと寝入っていたらしい。馬上という不安定な場所であったのに、落ちることなく城まで戻って来ることができたのは、セリオがしっかりと身体を支えてくれていたからだ。
「あ、ありがとうございます。私……眠っていたみたいで……」
眠くありませんからと口にした覚えはある。だというのに、それからすぐに眠ってしまうとは、子どもみたいではないか。
「だが、遠慮する必要はない。疲れたなら遠慮なく俺に寄りかかれ」
そう言われたら意地でも寄りかかるものかと思っていたエステルだが、しばらくしたら疲れと心地よい揺れによって、瞼が重くなってきた。かくかくと頭があっちへ行ったりこっちへ行ったりしているのは、セリオから見てもよくわかるだろう。
腰に回された手が、力強くエステルの身体を引き寄せる。そこから伝わるぬくもりも心地よく、エステルはセリオにされるがまま素直に従った。
そこからしばらくの間の記憶がない。
「エステル、着いたぞ」
セリオに名前を呼ばれるまで、エステルはすっかりと寝入っていたらしい。馬上という不安定な場所であったのに、落ちることなく城まで戻って来ることができたのは、セリオがしっかりと身体を支えてくれていたからだ。
「あ、ありがとうございます。私……眠っていたみたいで……」
眠くありませんからと口にした覚えはある。だというのに、それからすぐに眠ってしまうとは、子どもみたいではないか。