婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
「ああ、疲れていたんだろう? エステルは向こうでも魔導職人として動いていたからな。今日は早く休め」
 そこでひらりとセリオが馬から下りた。
「でも、材料を準備しておかないと……」
「何も今でなくてもいいだろ? 後日という約束をしたのであって、明日と言ったわけではないのだから」
「そうですけど……だけど、あの人たちは困っているわけで……」
 言い淀むエステルに「下ろすぞ」とセリオが声をかける。
「は、はい……」
 返事をするとすぐに身体がふわりと浮いた。馬から飛び降りることのできないエステルの身体を、セリオが持ち上げて下ろしてくれたのだ。
「ありがとうございます。重いですよね……すみません……」
「いや? 羽根のように軽い」
「大げさです」
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