婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
 そうやって一日の大半を魔導具製作に費やしているエステルを、ギデオンが集落の視察へと誘った。もちろん、彼がエステルを誘っていたその場に、セドリックの姿もあった。嫉妬ににじむ眼差しでギデオンを睨みつければ、彼もそれに気づいたようで、セドリックにも声をかけてくれた。しかもエステルには、セドリックと同じ馬に乗るようにとまで言ったのだ。
 ギデオンは、一喜一憂するセドリックの姿を見て、楽しんでいるに違いない。そう思ってみたものの、背に腹は代えられない。
 エステルと一緒に馬にまたがって、ペレ集落へと向かった。
 ほとんど王都から出たことのなかったエステルにとって、ペレ集落の生活は興味深かったのだろう。ここは主に川魚を捕って生計を立てているとのことで、その日も領民は魚を捕っていた。
 その漁の様子を、エステルは瞳をキラキラと輝かせて見ていた。こういった好奇心旺盛なところは、以前と変わっていない。
 それに集落の代表と魔導具の話をし始めたときは、ヒヤヒヤとしたものだ。エステルは彼女自身が考えている『でんわ』という魔導具が、どれだけ魔導具界に影響を与えるかというのを、まったくわかっていない。
 さらに、集落の壊れた魔導具を修理するとまで言い出す始末。しかしその日は、部品がないとのことで、もう一度ペレ集落へと足を運ぶことになった。
< 160 / 265 >

この作品をシェア

pagetop