婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
エステルにしてみれば、魔導具製作に宛てていた時間の一部が、王太子妃教育のための時間となったようなもの。それはそれで少し不満に感じつつも、セドリックと一緒にいるためだと、自分を鼓舞して勉強に励んだ。
そうやって頑張っているエステルを、セドリックも励ましてくれたし、気分転換にと茶会に誘ってくれたりもした。
そんな二人の関係が少しずつ変わり始めたのは約一年前。隣国ヴァサル国からやってきた留学生、ジュリーが現れてからだ。
『エステル。紹介しよう。ヴァサル国のジュリーだ。彼女は、この国の魔導具に興味があるらしい。だから、君とは気が合うのではないかと思ってね。仲良くしてくれると嬉しい』
セドリックがジュリーを紹介してくれたとき、エステルには言葉にできないような違和感があった。どうしてそう感じたのかはわからない。いや、セドリックがジュリーに向ける視線が気になったからだ。
他の生徒に向けるものと、エステルに向けるものともまた違う視線。
思慕。敬愛。
彼の眼差しからはそんな気持ちが読み取れた。
しかしエステルはセドリックの婚約者だ。これは国中に認められている事実。その事実がエステルの心の支えにもなっていた。
そうやって頑張っているエステルを、セドリックも励ましてくれたし、気分転換にと茶会に誘ってくれたりもした。
そんな二人の関係が少しずつ変わり始めたのは約一年前。隣国ヴァサル国からやってきた留学生、ジュリーが現れてからだ。
『エステル。紹介しよう。ヴァサル国のジュリーだ。彼女は、この国の魔導具に興味があるらしい。だから、君とは気が合うのではないかと思ってね。仲良くしてくれると嬉しい』
セドリックがジュリーを紹介してくれたとき、エステルには言葉にできないような違和感があった。どうしてそう感じたのかはわからない。いや、セドリックがジュリーに向ける視線が気になったからだ。
他の生徒に向けるものと、エステルに向けるものともまた違う視線。
思慕。敬愛。
彼の眼差しからはそんな気持ちが読み取れた。
しかしエステルはセドリックの婚約者だ。これは国中に認められている事実。その事実がエステルの心の支えにもなっていた。