婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
 だから国家魔導技師を目指す者たちを受け入れているらしい。だが、だれかれかまわず受け入れているわけではなく、もちろん学園時代の成績や実績などを加味しているため、ヘインズ侯爵の研究室に入るのは、魔導技師を目指す者たちにとっては憧れらしい。
 そういえばアドコック辺境領の魔導職人のアビーも、ヘインズ侯爵を崇拝していた。その娘のエステルに対しては気さくに接していたというのに。
 モートンはセドリックを別室に案内した。ここは、会議などを行うときに使う部屋のようだ。
 彼の部下がお茶を並べてから部屋を出ていくのを見届け、セドリックは口を開いた。
「ヘインズ侯爵に見てもらいたいものがある」
 声色を下げて言い出せば、モートンも眉間にしわを寄せる。それだけ大事な話だと、彼も認識したようだ。
「これが、エステルの作った『でんわ』だ」
 荷物入れの中から、エステルが帰り際に渡してくれた『でんわ』を取り出した。
「今、アドコック領で使われているのは、同じものを互いに持ち合い、一対一の固定の相手と連絡をすること。だが、これはこのボタンで通話回路を切り替えることで、通話したい相手を選ぶことができるらしい」
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