婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
「つまり、これを使えば、今、エステルと話ができると?」
「そういうことだ。ちなみにエステルと話をするときは、これをここに合わせればいい」
 エステルが作った『でんわ』を手にしたモートンは、それをいろんな方向からじっくりと見まわしていた。
「……殿下」
「なんだ?」
「これを、分解してもよろしいでしょうか?」
「分解?」
 いきなり何を言い出すのか。
「はい。分解です。これを分解して、同じようなものを作る。そうすれば私もエステルと話ができるわけですよね?」
 エステルの魔導具好きは、間違いなくこの父親の影響を受けている。ただヘインズ侯爵の場合は、そこに娘への想いがくわわり、その結果『でんわ』に興味をもっているようにも見えた。
「あぁ……この技術がヴァサル国に伝わるのを、俺は懸念している」
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