婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
「セドリック殿下、これはどういうことですかね? それともジュリアン殿下にお聞きしたほうがいいですかね? エステルを巻き込まないようにと、セドリック殿下は婚約を解消し、エステルをアドコック領に預けたわけですよね?」
 ヘインズ侯爵が怒っている。
「……申し訳ない。恐らく、ヴァサル国の組織だろう」
 そう謝罪したのはジュリアンだ。ジュリーの姿であるのを忘れたかのように、その声は勇ましい。
「彼らがエステル嬢の『でんわ』を狙っているのは知っていた。なによりも、侯爵が襲われたのがその証拠だと思っている」
「あのときも、私は『でんわ』という言葉に反応しましたからね。なぜヴァサル国の訛りがある彼らがそれを知っているのかと……」
「彼らはこの『でんわ』の技術を破壊兵器に応用したいんだ」
「破壊兵器だと?」
 セドリックが目をすがめる。
「ああ、だがそれよりも。先にエステル嬢を助けにいくほうが先だろ?」
 ジュリアンの言葉はもっともだ。こうしている間にも、エステルは見知らぬ場所で、見知らぬ者たちに、どんな扱いを受けているかわからない。
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