婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
 セドリックは素早く水差しからグラスに水を注ぎ、エステルの背中をそっと支えて身体を起こした。そして、グラスをエステルの唇に近づける。
「自分で飲めますから」
 エステルは気恥ずかしさから、頬が熱くなるのを感じた。
「俺がやりたいんだ」
 セドリックの青い瞳が、優しくも力強くエステルを見つめる。
 その眼差しに逆らえず、されるがままにグラスを受け、一口水を飲んだ。冷たい水が喉を潤し、ほっと息をつく。
「もっと飲むか?」
 セドリックがグラスを傾けながら尋ねる。エステルは小さく首を振った。
「あの……ここはどこですか? それに、どうしてセドリック様が?」
 その声には混乱と好奇心が混じる。
「あぁ……そうだな。落ち着いたなら、きちんと話すべきだな」
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