婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
少しだけ声色を高くしてそう言ったジュリーは、扉の向こうへと消えていく。そして次に戻ってきたときには、男子生徒用の制服へと着替えていた。
「あぁ、疲れた」
「自業自得だろう」
「やっぱ、女装って大変だな。声も変えなきゃならんし、あと、こう、歩き方? ガニ股はだめ、大股で歩くなと言われても。なら、どうやって歩けと?」
セドリックの目の前にいるのは、先ほどまでの可憐な女性ジュリーではない。その女性を演じていたジュリアンである。つまりジュリーは仮の名で、本名はジュリアンだ。フルネームはジュリアン・ヴァサル。隣国ヴァサル国の王子。ジュリーは女性ではなく男性だった。
「おまえがここにいることを、敵に知られてはならないからだろう? だったらおとなしくしていろ」
「おとなしくした結果が、女装ってことか……」
ソファに大きくよりかかったジュリアンは天井を仰ぐ。
「あぁ、疲れた」
「自業自得だろう」
「やっぱ、女装って大変だな。声も変えなきゃならんし、あと、こう、歩き方? ガニ股はだめ、大股で歩くなと言われても。なら、どうやって歩けと?」
セドリックの目の前にいるのは、先ほどまでの可憐な女性ジュリーではない。その女性を演じていたジュリアンである。つまりジュリーは仮の名で、本名はジュリアンだ。フルネームはジュリアン・ヴァサル。隣国ヴァサル国の王子。ジュリーは女性ではなく男性だった。
「おまえがここにいることを、敵に知られてはならないからだろう? だったらおとなしくしていろ」
「おとなしくした結果が、女装ってことか……」
ソファに大きくよりかかったジュリアンは天井を仰ぐ。