婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
「違うだろ? おまえがおとなしくできないから女装して、動き回ってるんだろ? 黙って軟禁されていればいいものを」
「ほんと、セドリックは口うるさい小姑みたいだな」
ジュリアンはあきれた様子で、また肩をすくめた。そんな彼がわざわざ女装してまでターラント国の学園に通っているのはもちろん理由がある。
ヴァサル国では今、王位継承権で揉めている。父王はまだ元気で精力的に政務をこなしているが、十年後はどうかはわからない。そろそろ次の国王を決める時期だとささやかれており、順調にいけばそれはジュリアンであった。
しかし、王弟を推す者もいる。王位継承権の高い者から順に王になるのではなく、王位継承権を持つ優秀な人物こそが国王にふさわしいと言い出し、今までのやり方に意義を唱える者が現れたのだ。
王弟派はそのやり方から改革派とも呼ばれている。
もし王弟のほうが次期国王にふさわしいという意見があるのなら、ジュリアンだってそこは話し合いをして決めていければいいと思っていた。国王になってこの国を統治しなければならないと幼い頃から言われ続け、責任感だけ強くなっていったジュリアンだが、絶対に国王になりたいわけではない。自分の変わりに国をよりよい道へと導いてくれる者がいるのなら、それを任せたいと思っているくらいだ。そして自分はその人物を支えればいい。
「ほんと、セドリックは口うるさい小姑みたいだな」
ジュリアンはあきれた様子で、また肩をすくめた。そんな彼がわざわざ女装してまでターラント国の学園に通っているのはもちろん理由がある。
ヴァサル国では今、王位継承権で揉めている。父王はまだ元気で精力的に政務をこなしているが、十年後はどうかはわからない。そろそろ次の国王を決める時期だとささやかれており、順調にいけばそれはジュリアンであった。
しかし、王弟を推す者もいる。王位継承権の高い者から順に王になるのではなく、王位継承権を持つ優秀な人物こそが国王にふさわしいと言い出し、今までのやり方に意義を唱える者が現れたのだ。
王弟派はそのやり方から改革派とも呼ばれている。
もし王弟のほうが次期国王にふさわしいという意見があるのなら、ジュリアンだってそこは話し合いをして決めていければいいと思っていた。国王になってこの国を統治しなければならないと幼い頃から言われ続け、責任感だけ強くなっていったジュリアンだが、絶対に国王になりたいわけではない。自分の変わりに国をよりよい道へと導いてくれる者がいるのなら、それを任せたいと思っているくらいだ。そして自分はその人物を支えればいい。