私たちの関係は変わらないと思っていた。
「綾香夕飯食ってないよな、どっかで食って行くか?それともおばさん用意してる?」
綾香は実家暮らしなので普段母が夕食を作ってくれている。事前に用事が出来た場合「夕飯はいらない」と連絡する決まりになっていた。一人暮らしの大我を心配した母が彼を高城家に招くこともある。
「今日は外で食べるって連絡しておいたから大丈夫」
大我に話を聞きに行くつもりだったので予め母には連絡しておいた。それを聞いた大我は「そうか、じゃあ何食いに行く?」と綾香に食べたいものを尋ねる。
「私は麺類なら何でも良いよ。大我くんは?」
「俺はラーメンかな」
「良いね、私もラーメン食べたい」
「でもラーメン屋って話するのに向かないよな、騒がしいし食べたらすぐ出て行かないといけない雰囲気あるし」
大我の言うとおりラーメン屋はカフェやレストランのように長居するのに適さない。
「中華料理屋は?あそこならお酒飲みながら話している人多いしラーメンもたくさんあるよ」
「それ良いな、この近くだと『吉田』は遅くまでやってるな。俺最近行ってないからあの店の味が恋しい」
綾香も大我の意見に賛同した。2人は子供の頃から通っている中華料理屋に向かった。夜遅いが繁盛しているようで賑やかな話声が聞こえる。店内に入ると混んではいたが席は空いていたのですんなり案内され、向かい合って座る。
「何にするか…ラーメン大盛りか、餃子も付けるか。お前も餃子食う?」
「そうだね、ここのにんにくあまり効いてないし食べようかな」
「OK、3つずつ分けよう」
お腹ぺこぺこだが餃子も食べるとなると、大我のように大盛りは難しい。そもそもこの店は学生が多く来ることから大盛りは物凄く量が多いのだ。以前大盛りを頼んだ結果食べ切れず大我に食べてもらったことがある。綾香はメニューと睨めっこした末に、麻婆麺に決めた。吉田の麻婆は辛すぎず、とろみが強いのでいつまで経っても冷めない。フーフーしないと火傷するがそこが良いのである。
「お前酒飲む?俺はビール」
「どうしよかな…じゃあ私も」
綾香は後にこの選択を後悔することになるのだが、まだ知らない。