私たちの関係は変わらないと思っていた。
綾香は「プロットが通ったからもう擬似体験に付き合わなくて良いよ、今までありがとう」とメッセージを送ったのを最後に、大我からの連絡手段を全てブロックした。店にも行かなくなり、大我を避け始めた。彼から直接「彼女が出来たからもう付き合えない」と告げられるのが怖かったからだ。突然連絡が取れなくなった綾香を心配し、何度か家を訪ねてきたが仮病、居留守を使ってやり過ごした。母からは会うように叱責されたものの、頑なな綾香の態度に事情があると察したのか協力してくれた。
しかしそんな日々を数週間も続けると、とうとう母がキレた。
「良い加減にしなさい!何があったかは知らないけど、今日こそは大我くんに会いなさい!良いわね!!」
部屋に来てそう怒鳴った母がドタバタと階段を降りた後、暫くすると控えめにドアが開いた。そこに居たのは眉間に深い皺を刻んだ大我だった。
「…よお久しぶり」
「ひ、ひさしぶり」
「突然メッセージも電話もブロック、店にも来ないし家に行っても会えない。言い訳あるんなら聞くけど?」
綾香が上擦った声で挨拶をするが、大我はスルーして勝手にクッションの上に座り地を這うような低い声で尋問する。ビクビク震える綾香は彼の対面に正座をした。
「…ええと…彼女出来たみたいだから、もう私に付き合わないほうが良いかな…と…思いまして」
「は?彼女?何言ってんだお前。んなもんいねぇよ」
不機嫌な大我にそう断言され、綾香は反射的に「嘘!」と叫んでいた。