私たちの関係は変わらないと思っていた。

「お前さ、俺相手だから良いけど多少は猫被らないとモテねぇぞ。職場で馬鹿正直に思ったこと口にしてないだろうな?それに、人見知りのくせに仲良くなると距離感バグって後悔して来ただろ。お兄ちゃん心配」

まるで聞き分けのない子供に対する態度を取る大我に綾香の中に反発心が芽生え、キッと彼を睨む。

「ちょっと、昔のままな訳ないでしょ。私だって成長してるんだから!子供扱いしないでよ」

「社会人になってからも馴れ馴れしくし過ぎた、相手に引かれちゃったらどうしようって泣きついて来た奴が言っても説得力皆無だな」

んぐ、と綾香は正論をぶつけられ押し黙る。綾香は幼い頃から人見知りが激しく、仲良くなるのに時間がかかるが、一度仲良くなると一転して馴れ馴れしくなってしまう。それが原因で子供の頃は相手に引かれたり、無遠慮な言動で相手を傷つけてしまうことがあった。流石に成長するごとにそういった失敗は無くなったが学生、社会人と年を経ても、仲良くなれそうな人に馴れ馴れしく過ぎたかもしれない…と後悔することは無くならなかった。それを幼馴染でもある大我に相談、という名の愚痴を溢すまでがセットになっている。

綾香以上に口下手で人付き合いの苦手な大我に良いアドバイスが出来る訳もなく、不器用な彼は不安に苛まれる綾香の頭を撫でてくれるようになった。今でも癖になっているのか、髪が乱れるから辞めて欲しいと訴えても辞めてくれない。大我の中では綾香はいつまでも子供で、妹分なのだ。

(お兄ちゃんね、私はお兄ちゃんだって思ったことないよ)

心の中で溢すが当然大我には聞こえない。積年の思いは絶対報われないのだろうな、と微笑む綾香の目には諦観の色が見え隠れしていた。
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