私たちの関係は変わらないと思っていた。

それからも大我と綾香の関係は幼馴染のまま変わらず、何年も過ぎた。成長期を迎え身長が急激に伸びた大我は元々の顔立ちも相まって、とてもモテた。初めて彼に彼女が出来たと報告された時、綾香はその場に泣き崩れそうになる程ショックだったが、1ヶ月も持たずに振られた時は不謹慎にも喜んだ。大我は誰と付き合っても長続きせず、いつの間にか一々嫉妬もしなくなった。

2人の関係は分からなかったが、大我の置かれた環境は大きく変わった。彼も明と同じく医学部に進まない選択をしたのだ。それはそれは壮大な親子喧嘩を繰り広げたらしいが最終的に勘当扱いで実家を出た。高校時代にバイトを掛け持ちして貯めたお金でアパートを借り、成績優秀だったことから奨学金を借りて大学に通い始める。

大我は子供の頃から明の経営するカフェや喫茶店に足を運んでいた。家に居づらかった自分に安やぎを与えてくれた、そんな過ごしやすい空間を作る店に携わりたい、と明が代表を務める会社に就職する決意をしたのだ。しかし明からはまず最初は違う会社に就職して社会経験を積め、それでも考えが変わらなければ好きにしろと告げたらしい。明の意向通り、大学卒業後は大手のカフェチェーンに就職し3年勤めるとあっさり辞めてしまった。優秀な社員だと名高かったため当時周囲に相当反対され、特に明は「うちより圧倒的に条件良いだろ。このままいけば管理職で給料も上がる。早まるな」と大我を必死で説得した。しかし大我の意思は固く、退職した後明の会社に転職し「星の雫」に正社員として配属された。ここまで来ると明は何も言わなくなり、好きにさせている。
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