初恋のやり直し ~過去に私をふった彼からの猛アタック~
 ――それに、少し前まで、私は完全に蒼士くんを避けていたわけで……。

 そんな私を誘う意味がわからない。
 そもそも仕事の話を抜きにしたら、共通の話題なんて兄のことしかないのだ。気まずくなる一方な気がしてどうするか悩むも、蒼士くんの笑顔の圧にたじろいでしまった。

「な? せっかくだし、お疲れ様会しよう」
「えっと……。はい」

 イエスと言うまで誘い続けると言わんばかりの笑顔に、思わず頷いてしまう。
 私の返事を聞いて、蒼士くんは上機嫌で仕事に戻っていったけれど、一方の私はいまだに大混乱だった。

 ――思わず返事しちゃったけど、まずくない!?

 パソコン画面に向かい、マウスを操作するも、同じところを何度も行ったり来たりしてしまう。
 ちらりと横を盗み見たら彼と目が合って、蒼士くんから小声で「あとで詳細を送っておくから」と言われてしまった。

 それからの私は気もそぞろに、新しく任された案件の資料に目を通す。

 このままなかったことにならないかと期待していたけれど、定時後、しっかり蒼士くんから連絡先を聞かれてしまって、私は完全に逃げられなくなってしまった。

< 32 / 55 >

この作品をシェア

pagetop