初恋のやり直し ~過去に私をふった彼からの猛アタック~
 兄と蒼士くんがとても仲がいいことは知っている。
 地元の中学も高校も同じで、二人とも頭がよく、成績のレベルも同じだったため、二人は都内の有名私大に進学した。
 学部こそ違ったそうだけど、大学でも仲良くしていたことは兄から聞いている。
 兄が就職してからはなかなか時間が取れず、兄から蒼士くんの話を聞かなくなったが、それでも会っているらしいことは知っていた。

「いまも半年に一回ぐらいは会ってるよ」
「そうなの?」
「飲みに行ったりしてるし。そのときに綾音の話も聞いてた。ただ、転職したことまでは知らなかったなぁ」

 転職に関しては家族にも相談せず、自分で決めた。
 母にだけは転職活動が終わって、前職を辞めたタイミングで一度実家に戻ったときに伝えたけれど、兄には伝えていなかった。
 だから、蒼士くんも知らなかったのだろう。でなければ、入社日にあんなに驚かれない。

「ま、とにかく今日は付き合ってくれよ。よろしくな」

 ぽんと頭を撫でられて、私はこくりと頷くしかなくなる。

 それからの私たちはカフェを出ると、駅と繋がっている商業ビルの中に入り、兄が好きそうなものが売っている店を見て回った。
 兄は変わったものが好きだ。決して好みが似ているわけではないけれど、長く一緒にいるとそれなりに理解もしてくる。
 蒼士くんと会話しながら兄のプレゼントを選ぶのは思いのほか楽しくて、ついつい私も我を忘れて楽しんでしまった。
 そうして買い物を終えた私たちだったけれど、ふと商業施設の壁面にデザインされた水族館の広告を見て、蒼士くんが足を止めた。

< 44 / 55 >

この作品をシェア

pagetop