初恋のやり直し ~過去に私をふった彼からの猛アタック~
 着信の相手は兄からで、いますぐ蒼士くんと一緒に会えないかと言われて、返事に困ってしまう。
 そうこうしているうちに蒼士くんも戻って来てしまって、兄からの電話であることを告げたら、携帯を取られてしまった。

「……うん。わかった。綾音と一緒に向かうよ」
「へ!?」

 通話を終えたらしく、蒼士くんから携帯が戻ってくる。
 いま、不穏な発言があったような……と思えば、案の定、蒼士くんは兄と会う約束を取り付けていた。

「絢斗が近くまで来るって」
「なんで急に!?」
「さぁ? そういう気分だったのかもしれないな」

 兄は私と違って破天荒なところがある。思い立ったらすぐに行動するタイプだ。
 だとしても急に蒼士くんと共に顔を合わせることになるとは思わず、困ってしまう。
 蒼士くんは私の手を引くと、スマホで何かを調べ、やがて私の手を引っ張って歩き始めた。
 そうして動物園から駅の方へと戻り、その近くにあったカフェに入る。

 ほどなくして兄も店にやってきてしまい、さながら両親に結婚の挨拶をするカップルのような構図になってしまった。ただ、それよりも気が重いかもしれない。だって、蒼士くんは兄の友人だ。
 俺の友人と恋人になるなんて! と糾弾するような人ではないけれど、それでも嫌な緊張が走る。

「ごめんな。急に電話して。今日、たまたま仕事がオフになったからさー」

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