初恋のやり直し ~過去に私をふった彼からの猛アタック~
 そんなことを呑気に言いながら、兄は注文していたアイスコーヒーをすする。

 兄は世間一般で言うところの外資系有名企業に勤めており、休日でも必要に応じて仕事に出ている。かなり激務ではあるが、兄はそれが面白いのだと言って、仕事一辺倒な生活を送っていた。だから、何もない日にこうして会うのは珍しかった。

「どうせ、二人ともデートしてるかなって思って電話した」
「いつもお前は急だな」
「でもこうでもしないと、二人揃って会えない気がして」

 な? と私に同意を求められて目を逸らす。兄の言う通り日を改められていたら、間違いなく理由をつけて三人での会合を取りやめにしていただろう。
 我が兄ながら、私の性格をよく知っていた。

「で、二人ともどう? 最近は」
「いきなりぶっこんでくるな」
「だって~。気になるし!」

 完全に親戚の噂好きなおばさんのテンションで私たちのことを聞いてくる。
 どうも何も普通だと答えるも、兄はニヤニヤと笑うばかりだった。

「それにしても蒼士から電話もらったときはびっくりしたな~。綾音のことが好きだから、って言われてさ。つーか、昔からお前が綾音のことを好きなのも、俺に遠慮して手を出さなかったのも知ってたし」
「は……?」
「あれ、気付いてないとでも思ってた?」

 意地悪な顔で笑う兄に、蒼士くんの顔からさぁっと血の気が引いていく。
 最悪だ、と呟いた蒼士くんに、兄はまたしてもからかうように笑った。

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